獣医大学に進学する場合、国公立であれば、入学金、授業料および教科書代等を含めて6年間で400万円、私立の場合、一般的に入学金50万円+6年間の授業料(年間200万×6)6年間で1250万円といわれています。国公立は学費が安いので、人気が殺到し超難関とされています。高額となる獣医大学の学費を払えない場合、経済的に補助してくれるのが奨学金制度です。今回は奨学金制度についてまとめて紹介していきましょう。
目次
奨学金の種類としくみ

奨学金には「借りる奨学金」と「稼ぐ奨学金」と「貰う奨学金」の3種類があります。それぞれのどのような仕組みでしょうか。
1、借りる奨学金
「借りる奨学金」とは、いわゆる「貸与型の奨学金」のことです。
「貸与型の奨学金」の代表的な団体が、日本学生支援機構(JASSO)です。
日本学生支援機構の奨学金は、国内の大学、短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程)および大学院で学ぶ人が対象なので、獣医大学を目指す学生も利用できます。
貸与型の奨学金は、利子の付かない第一種奨学金と、利子の付く第二種奨学金の2種類です。
このほか、入学時の一時金として貸与する入学時特別増額貸与奨学金(利子付)も用意されています。入学時特別増額貸与奨学金は、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」を申し込んだものの利用できなかった世帯の学生などが対象で、これだけを単独で借りることはできません。
参照:
第一種奨学金(無利子)
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/taiyo_1shu/index.html
第二種奨学金(有利子)
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/taiyo_2shu/index.html
入学時特別増額貸与奨学金
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/nyuzo/index.html
2、稼ぐ奨学金
「稼ぐ奨学金」とは、新聞奨学生などの「働きながら進学する」奨学金制度を指します。
新聞奨学生は、新聞配達などの業務で毎月の給与を受け取りながら、学費を奨学会に立て替えてもらえるのが特徴です。たとえば読売育英奨学会では、入学金、授業料、施設費などを奨学会が学校へ立て替えて支払い、限度額までは返済が免除されます。給与はコースによって異なり、月163,397円〜214,824円(2026年4月実績、深夜労働の割増賃金を含む)です。個室の宿舎も無料で提供されます。
ただし、授業や実習が夕刊配達の時間帯と重なる学部・学科では、原則として制度を利用できません。実習の多い獣医学科で利用できるかどうかは、事前に各奨学会へ問い合わせましょう。
参照
https://www.yomisho.com/scholarship/
https://www.yomisho.com/about/work/
https://www.yomisho.com/qa/
3、貰う奨学金
「貰う奨学金」とは、いわゆる「給付型の奨学金」のことで、卒業後の返済は必要ありません。
「給付型の奨学金」には、日本学生支援機構の奨学金、地方自治体の奨学金、民間団体の奨学金、各大学の奨学金などがあります。
日本学生支援機構の給付奨学金は、国の「高等教育の修学支援新制度」のひとつです。世帯収入の基準を満たしていれば、授業料・入学金の免除または減額と、返還不要の給付奨学金をあわせて受けられます。給付奨学金の支給額は世帯の区分や通学形態によって異なり、第1区分で自宅外から通う場合、月額は国公立大学で66,700円、私立大学で75,800円です。
2025年度からは、扶養する子どもが3人以上いる多子世帯の学生について、所得制限なく授業料・入学金が一定額まで減免されるようになりました。
参照
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/kyufu/index.html
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/kyufu/kingaku.html
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/kyufu/kakei/r7tashikakudai/index.html
自治体の奨学金制度について

地方自治体の奨学金は、各地方自治体で、獣医師を採用するために一部の都道府県や市町村、区がそれぞれ、独自に設けている「進学支援」制度をさします。全国すべての自治体で利用できる訳ではなく、利用できる制度は一部に限られています。自分が住んでいる自治体が「奨学金制度を設けているか」最寄りの市役所や区役所、県庁のホームページで確認してみましょう。中には、各都道府県の教育委員会が設ける奨学金制度もあります。
自治体の奨学金には、一般的に以下条件があるようです。
- 奨学金制度による奨学生は卒業年度での獣医師国家試験合格を前提としています。
- 奨学金制度によって奨学生として採用されても、その都道府県での採用を前提とするものではなく、その都道府県の採用試験には自力で合格しなければなりません。
- 獣医師国家試験に不合格、またはその都道府県の採用試験に不合格となった場合、給付された奨学金は、ほとんどの場合一括返済を求められます。
つまり、その都道府県から奨学金を借りられるけれども、卒業年度で獣医師試験に合格し、かつその都道府県の採用試験に合格しないといけないという難易度の高い奨学金なのです。
以上は一般的な内容のため、内容は各都道府県まちまちで給付される金額は自治体ごとに違います。進学する学校の入学金や学費に応じて給付額が違ってくる奨学金制度もあります。給付条件は、成績や家計の状況、進学の意欲といった条件を総合的に判断して給付の可否が決定されていくようです。
たとえば宮崎県の獣医師確保修学資金では、大学卒業後に宮崎県職員獣医師として働く意思のある学生に、私立大学の場合は月額18万円(6年間で1,296万円)、国公立大学の場合は月額10万円(6年間で720万円)が給付されます。県職員獣医師として一定期間従事するなどの条件を満たせば、返済は全額免除です。一方で、定められた期間内に県職員獣医師として従事しなかった場合などは、給付総額に年10.95%の利息を付けた額を一括で返還しなければなりません。
産業動物獣医師を目指す学生向けの修学資金制度については、公益社団法人中央畜産会のホームページに案内があります。
参照
https://www.pref.miyazaki.lg.jp/shinsei-kachikuboeki/shigoto/chikusangyo/20210608112834.html
https://jlia.lin.gr.jp/eisei/syugaku/
各獣医大学の奨学金制度について一覧

地方公共団体や日本学生支援機構などの各団体が提供している奨学金制度の他、各獣医大学の奨学制度があります。この奨学金制度について紹介していきましょう。
私立大学の奨学金制度
酪農学園大学
日本学生支援機構の奨学金(給付・貸与)のほか、家計支持者の失職や死亡、災害などで授業料の納付が困難になった学業優秀な学生を対象に、授業料の半額を免除する制度があります。同大学に兄弟姉妹が同時に在籍する場合は、2人目以降の後期授業料の2分の1相当額が減免の対象です。学業成績、人物、課外活動において優れた学生に特別奨学金24万円を給付する特待生制度も設けられています。
参照
https://www.rakuno.ac.jp/life/support/scholarship.html
北里大学
北里大学給付奨学金制度(給付総額3,000万円/年)、北里大学貸与奨学金制度(貸与総額5,000万円/年)、北里大学PPA給付奨学金制度(給付総額600万円/年)、北里大学PPA貸与奨学金制度(貸与総額480万円/年)があります。給付奨学金の対象は2年次生以上で、給付額は原則として年額学費の2分の1相当額です。このほか、災害で被災した学生への経済的支援も行っています。
参照
https://www.kitasato-u.ac.jp/jp/campuslife/procedure/scholarship.html
日本獣医生命科学大学
日本学生支援機構の奨学金のほか、在学中の家計急変や災害などで修学が困難になった学生を対象に、授業料の2分の1を限度とする日本獣医生命科学大学奨学金(貸与・給付)があります。教育ローンは、オリエントコーポレーションの「学費サポートプラン」(10万円以上700万円以内、累積合計額)が利用可能です。過去の採用実績には、大学後援会奨学金や各地方公共団体の獣医師修学資金制度、JEES・JRA獣医学生奨学金などがあり、学外の奨学金も大学で取り扱っています。
参照
https://www.nvlu.ac.jp/campuslife/004.html/
麻布大学
学業成績及び人物が優秀な2年次から6年次の各学科3〜4人に10万円を給付する成績優秀者の奨学金と、獣医学部の最高学年で修学支援新制度の第Ⅰ区分に採用され、前年度のGPAが3.0以上の学生に30万円を給付する麻布大学獣医学部特別奨学金があります。貸与型では、麻布大学奨学金と麻布大学父母会奨学金(いずれも学納金の年額または年額の2分の1を無利子で貸与)、緊急時に学納金の年額の2分の1を無利子で貸与する麻布大学同窓会奨学金が設けられています。
参照
https://fanclub.azabu-u.ac.jp/c-life/support.html
日本大学
経済的に困窮している学生を対象に、学科によって25万円〜60万円を給付する生物資源科学部後援会奨学金と生物資源科学部校友会奨学金があります。日本大学全体の制度としては、経済的に困窮している学部生に給付する日本大学創立130周年記念奨学金なども用意されています。
参照
https://www.brs.nihon-u.ac.jp/campus_life/scholarship/
岡山理科大学
6年次の獣医学科生を対象に1人あたり上限50万円を給付する岡山理科大学亀井奨学金制度や、単年度で30万円を無利子で貸与する岡山理科大学同窓会奨学金制度があります。2025年度から適用されている在学生兄弟姉妹授業料等減免制度では、兄弟姉妹で同大学に在籍する学生の入学金及び授業料の半額が免除の対象です。自然災害で被災した場合は、1年間、授業料の全額または半額が免除される緊急奨学支援制度もあります。
参照
https://www.ous.ac.jp/students/schorlarship/
国公立大学の奨学金制度
北海道大学
日本学生支援機構、民間奨学団体、地方自治体などの奨学金を取り扱っています。大学独自の制度として、入学料・授業料の減免も実施されています。
参照
https://www.hokudai.ac.jp/gakusei/campus-life/certificates/bursary.html
帯広畜産大学
帯広畜産大学基金による給付奨学金があり、経済状況と学業成績の基準を満たし、他の給付型奨学金を受けていない学部生に月額3万円が給付されます。日本学生支援機構の給付奨学金・貸与奨学金も利用できます。
参照
https://www.obihiro.ac.jp/scholarship
岩手大学
日本学生支援機構の奨学金のほか、経済的支援を必要とする学業優秀な学生に給付する岩手大学イーハトーヴ基金修学支援奨学金があります。同窓会の岩手大学北水会からの寄附金による「岩手大学農学部及び獣医学部援助資金(給付型)」もあり、獣医学部の学生も対象です。
参照
https://www.iwate-u.ac.jp/campus/fee/scholarship.html
東京大学(農学部獣医学課程)
農学部の在学生向けページに、日本学生支援機構や民間団体の奨学金の募集案内が掲載されています。
参照
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/cstudents/
東京農工大学農学部
日本学生支援機構の奨学金や、地方公共団体・民間の奨学金のほか、大学独自の奨学金も設けられています。
参照
https://www.tuat.ac.jp/campuslife_career/campuslife/fee/syogakki/
大阪公立大学(旧:大阪府立大学)
大阪府の「大阪公立大学等授業料等支援制度」により、2026年度から所得制限や資産要件なしで入学料・授業料が無償化されています。ただし、学生本人と生計維持者(原則として父母)が、3年以上前から引き続き大阪府内に住所を有していることなどが条件です。国の修学支援新制度の対象となる世帯は、国と府の両方の制度に申請する必要があります。このほか、大学独自の給付奨学金制度や授業料減免制度もあります。
参照
https://www.omu.ac.jp/campus-life/tuition/financial_aid/
https://www.omu.ac.jp/campus-life/tuition/financial_aid/osaka-pref/
岐阜大学
日本学生支援機構の奨学金のほか、大学独自の岐阜大学基金学生支援事業奨学金があります。このうち応援奨学生は、人物及び学業成績において優れ、他の学生の模範となるような学生に月額30,000円を1年間給付する制度です。
参照
https://www.gifu-u.ac.jp/campus_life/scholarship/scholarship.html
鳥取大学
日本学生支援機構の第一種奨学金(無利子)は、月額20,000円と30,000円のほか、自宅通学なら45,000円、自宅外通学なら40,000円か51,000円を選べます。第二種奨学金(有利子)は、月額20,000円〜120,000円の範囲で1万円単位で選べます。入学時特別増額貸与奨学金は100,000円〜500,000円(10万円単位)で、貸与は入学時の1回のみです。給付奨学金は、第1区分の場合、自宅通学で月額29,200円、自宅外通学で月額66,700円です。
参照
https://www.tottori-u.ac.jp/campuslife/fee/jasso/
山口大学
日本学生支援機構の奨学金のほか、大学独自の七村奨学金があり、学部入学生10名以内に月額7万円(8月、9月、3月を除く)が給付されます。給付期間は原則4年間ですが、共同獣医学部獣医学科は6年間です。
宮崎大学
日本学生支援機構の奨学金のほか、宮崎大学「夢と希望の道標」奨学金があります。このうち成績優秀者奨学金は、前学年次の学業成績が極めて優秀な2〜4年次の学部生に1人あたり10万円を給付する制度で、農学部獣医学科の対応学年は学部で調整されます。
参照
https://www.miyazaki-u.ac.jp/manabi-jim/campus-life-info/scholarship-miyazaki-univ/
鹿児島大学共同獣医学部
日本学生支援機構の奨学金のほか、学業成績が特に優秀で人物的にも優れた学生に1人あたり15万円を給付する鹿児島大学学業成績優秀学生奨学金があり、共同獣医学科は第6年次までが対象です。鹿児島県内の離島地域の学校を卒業して入学した1年次生のうち、前期分の授業料免除を許可された学生に25万円を給付する鹿児島大学離島出身者支援スタートアップ奨学金も設けられています。
参照
https://www.kagoshima-u.ac.jp/education/shougaku/kikoun.html
https://www1.g-reiki.net/kagoshima-u/reiki_honbun/x890RG00000712.html
※最新の情報は変更になっている場合もありますので、各大学で確認されることをお勧めします。
奨学金情報検索サイト

このように様々な種類の奨学金があり、窓口もバラバラで自分に合った奨学金を探すのはなかなか大変です。そんな時に便利な奨学金検索サイトについてです。
日本学生支援機構
日本学生支援機構のホームページには、大学や地方公共団体などが行う奨学金制度を検索できるページがあります。地域や申込時期などの条件のほか、大学名や団体名からも検索できるので、志望校が決まっている場合にも使いやすいページです。掲載団体数は、大学364校、短期大学112校、地方公共団体・奨学金事業実施団体等421団体です(2026年8月28日更新)。
参照
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/dantaiseido/index.html
学費が払えないなら奨学金の利用検討も
いかがでしたでしょうか。獣医大学に進学したいが、学費が払えないからとあきらめなくても奨学金制度を利用して
進学するという選択肢もあります。奨学金制度を上手に利用することで、学費が払えないとあきらめていた獣医大学への進学も可能になるのではないでしょうか。まずは自分に合った奨学金があるか「探してみる」「確認してみる」お金が足りないと獣医大学の受験をあきらめるのは、それからでも遅くありません。獣医大学の学費・ランキングというページに詳細を記載していますので、詳しい情報はこちらご覧ください。また、獣医大学については「獣医大学とは」のページに詳細を記載しています。

















