獣医学部を受験したものの、不合格となり、これからどうすればよいのか悩んでいる方もいらっしゃると思います。
「浪人するべきか」「別の学部に進むべきか」「そもそも獣医師以外の道も考えるべきか」と迷いやすいものです。
ですが、獣医学部に落ちたからといって、将来の道がなくなるわけではありません。
この記事では、獣医学部に落ちた場合に考えられる主な選択肢を整理し、それぞれの特徴をわかりやすく解説します。
1、浪人する
獣医学部に不合格で、後期でも不合格だった場合、「浪人して獣医学部を再受験する」という選択肢を検討する方は多いです。獣医学部は人気の学部であり、そもそも募集人数が少ないため、現役合格は狭き門になりやすい背景があります。
そのため、実際には浪人を経て獣医学部に合格する人は珍しくありません。
もちろん、何回目の受験か、今回どこまで届いていたのか(共通テスト・二次の得点感、面接や小論文の手応え、併願校の結果など)によって、浪人が有利になるかどうかは変わります。
しかし、もう1年かけて合格を取りに行く、という戦略は、獣医学部のように競争が激しい学部では現実的なルートの一つです。

図は、各大学が公表しているデータをもとに、現役生と浪人生の比率を比較したものです。
大学ごとに「入学者」「合格者」「志願者」と集計対象は異なるものの、どのデータでも浪人生が一定数いることがわかります。
参考)
東京農工大学 令和7年度 合格者現浪比
https://www.tuat.ac.jp/documents/tuat/admission/nyushi_gakubu/digital_pamphlet/r7_nyusi_joho.pdf
山口大学 令和7年度 現役・浪人別入学者数
https://www.yamaguchi-u.ac.jp/nyushi/wp-content/uploads/2025/04/r7genroubetu.pdf
麻布大学 令和7年度 現役・浪人別志願者数
https://fanclub.azabu-u.ac.jp/exam/files/gakubuyoukou2026.pdf
浪人することを選ぶ注意点もあります。
精神的な負担や、家計の負担が増えることは現実として押さえておく必要があります。
また、獣医学部は大学ごとに試験科目の比重や傾向が異なるため、志望校の傾向に合わせた対策の最適化が重要です。「来年も同じやり方で挑む」のではなく、「今年の結果を踏まえて、やり方を変える」ことが浪人成功のポイントになるかもしれません。
2、他大学、他学部へ進学
獣医学部に落ちたあと、それでも動物に関わる道を進みたいと考える方が選びやすいのが、他大学・他学部へ進学するルートです。
まず前提として、獣医師資格を取得するには、獣医学の正規課程(6年制)を修めて卒業し、獣医師国家試験に合格する必要があります。
つまり、獣医師になることを最優先にするなら、最終的には獣医学部に進む必要があります。
一方で、動物に関わる学問や研究、あるいは動物関連の仕事は、獣医学部だけに限られません。
たとえば、農学・生命科学・生物学・動物科学など、動物や生命に関係する領域を学べる学部は多くあります。大学での学びを土台にして、研究職や企業(ペットフード、医薬品、検査、飼料、バイオ、食品関連など)に進む人もいます。
今一度、自分の進みたい道は獣医師免許がどうしても必要なのかということを検討してみてもいいかもしれません。
他学部に進む場合、「転科」という制度を使える場合があります。これは、同大学内の
大学によって制度の有無や条件は様々です。
たとえば、帯広畜産大学では次のような記載がありました。
Q. 畜産科学課程から共同獣医学課程への転課程は可能でしょうか。
希望の課程に欠員がある場合にのみ申請が可能ですが,申請できる学生は,学校推薦型選抜や3年次編入学試験を除いた,一般選抜で入学した学生のみとなっています。さらに,入学した年度の入試で希望課程の合格最低点を上回っていること,1年次に単位取得数が32単位以上であることなどの条件があります。なお,近年で各課程の欠員がないことが多いため転課程はとても難しい状況が続いています。
参考)よくある質問 – 帯広畜産大学
https://www.obihiro.ac.jp/faq
獣医学課程の場合、転科する際の条件は非常に厳しいのが一般的です。最初からこの方法を狙うことはおすすめしませんが、このようなパターンもあることも知っておくと良いでしょう。
3、専門学校、短大
獣医学部に進まなくても、動物に関わる知識や技術を学べる進学先として、専門学校や短大があります。学校によっては、動物看護、トリミング、しつけ、ペット業界の実務など、現場に近い内容を学べます。
そのため、できるだけ早く実践的な力を身につけたい方にはおすすめです。
学校選びは慎重に行う必要があります。たとえば愛玩動物看護師は国家資格で、受験資格を得るには、指定を受けた大学や養成所で学ぶことが必要です。養成所ルートでは、3年以上の教育が求められます。
つまり、動物系の学校ならどこでも同じというわけではありません。必ず、その学校でどの資格を目指せるのかを確認してから進学先を選びましょう。
大切なのは、自分が将来どのような立場で動物に関わりたいのかを整理し、その目標に合った学校や資格を選ぶことです。
一般的な進路としては、愛玩動物看護師、動物看護師、ドッグトレーナー、トリマー等が挙げられます。
4、海外の獣医大学
獣医学部に落ちたとき、海外の獣医大学を進路として考える人もいます。
高校卒業後にそのまま海外の大学を目指す方法もありますし、海外の大学によっては、日本の大学で学んだ科目が出願時に評価される場合もあります。
ただし、入学条件や編入の可否は国や大学ごとに大きく異なるため、個別に確認が必要です。
海外で獣医学を学んだからといって、自動的に日本で獣医師として働けるわけではありません。日本の獣医師国家試験を受けるには、農林水産省による受験資格認定が必要になる場合があり、外国の獣医学校についても、教育年限や履修内容、その国で獣医師免許の取得資格につながる課程かどうかなどが審査されます。
この選択肢は、学費や生活費などの金銭面に加え、語学力も求められるハードルの高い選択肢です。
5、動物関連の仕事に就職
獣医学部に落ちた場合、大学に進学せず、動物関連の仕事に就職するという選択肢もあります。
たとえば、動物病院、ペットショップ、保護施設など、動物に関わる現場で働き始める道です。仕事の内容は職場によって異なりますが、受付や清掃、飼育補助、接客など、資格がなくても始められる業務が含まれる場合があります。
最初はアルバイトや補助的な立場から入り、経験を積みながら正社員を目指すケースもあります。実際に現場で働くことで、動物と関わる仕事の大変さや自分に合う働き方が見える点も、この進路の特徴です。実務経験を積む中で、後に資格取得を目指すという考え方もあります。
獣医学部に不合格だったことは残念な結果ですが、獣医学部に落ちたからといって、将来の道がなくなるわけではありません。
獣医学部に落ちたとき、これからどうしていくか、今回紹介したような不合格後の選択肢を選ぶにあたって、答えを出しておいた方がいいことがあります。
それは「自分はなぜ獣医師を目指したいのか」を深く掘って考えてみてもいいのではないかということです。
動物に関わる仕事がしたいからでしょうか?医療に興味があるからでしょうか?国家資格が欲しいからでしょうか?
さらに深掘りしてください。なぜ動物?なぜ医療?なぜ国家資格?というところまでです。
目指す理由に優劣はありません。
その深掘りした理由のなかに、どうしたらいいかのヒントがあるような気がします。

