地域猫活動(TNR活動)をしている獣医師

地域猫活動(TNR活動)をしている獣医師

地域猫活動(TNR活動)をご存知でしょうか。
野良猫が増えすぎないように、不妊手術をして地域でお世話をする猫たちのことをいいます。不妊手術後に耳先をカットするので、さくら猫とも呼ばれる地域猫(野良猫)のことです。
この活動には賛否がありますが、殺処分される猫の大半が子猫なのです。
この子猫を減らすための活動を地域猫活動(TNR活動)といいます

TNR活動、地域猫活動とは

地域猫活動は、野良猫の保護を目的とした活動です。
地域猫とは、決められている地域の方々にお世話をしてもらっている野良猫を指します。
野良猫が増えすぎないようにする活動でTNR活動ともいわれます。
TNRは、T(trap)捕獲してN(neuter)不妊手術をしてR(return)元の場所に戻すという活動をいいます。
このTNR 活動では、不妊手術済のしるしとして、ネコの耳先をカットします。その耳の形が桜のようなことから、さくら猫を増やす活動などとも呼ばれています。

各地域の活動内容について

地域猫活動は各地域で行われています。
例として大阪では、「大阪さくらねこプロジェクト」として大阪猫の会が2014~2018年3月にかけて
「公益財団法人どうぶつ基金」や獣医師により地域猫活動を進めました。その結果2015年には200匹、2016年には1,401匹、2017年
には、1,456匹、2018年3月までに563匹もの地域猫が生まれました。
また、神奈川県横浜市では、動物病院にて地域猫活動(TNR活動)を実施しています。
埼玉県においては、県から地域猫活動の実践ガイドブックが配布されています。
国の活動としては、環境省において「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」というガイドラインの元、各自治体の取り組みを紹介しています。
環境省 _ 人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト | 事例紹介
環境省「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」よりこのように、多くの地域で地域猫活動が行われています。

しかし、地域猫活動の普及とともにトラブルも増加しています。
例えば、地域猫活動をしている地域に猫を捨てていく人がいるといった問題点や、地域猫の手術代金と偽って金銭をとられたとの報告もあります。
また、地域猫活動を実施している地域に業者を装い、地域猫を毒殺するといったトラブルもあります。
同様に、猫が嫌いな人にとっては、不妊手術をして元の場所に返す行為は遺棄に当たるのではないかとの相談や、地域猫に被害を受けているので器物損壊として訴えることができるかといった相談もあり問題となっています。

獣医師の地域猫活動(TNR活動)

地域猫活動(TNR活動)において獣医師の意見はどうなっているのでしょうか。
野良猫の不妊手術を無料もしくは安価で実施することに問題はありますが、積極的に活動に参加している獣医師もいます。地域猫活動により、殺処分数は十数年前までは、約40万頭であったものが、現在では6万頭以下にまで減少している実績があります。
日本の地域猫活動(TNR活動)はボランティアという自発的な力が大半を占めています。
地域猫活動に賛否はありますが、殺処分数が減少していることは数字からも明らかです。
獣医師の活動としては、TNR専門の「ねこけん動物病院」を開院する地域猫活動(TNR活動)に積極的な獣医師もいます。
野良猫対策としては最良ではないけれども現時点でできる最善のことはTNRですとの意見もあります。今後、もっと良いシステムが生まれるかもしれませんが。それまでは、地域猫活動(TNR活動)が最善だといえるのでしょう。

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