獣医のドラマまとめ(日本)

獣医師が登場する日本のドラマ、あなたはいくつ知っていますか?

動物と命に向き合うドラマ上での獣医師の姿は、フィクションでありながらどこか現実味があり、心に残るものがあります。本記事では、獣医師という仕事を物語の中に描いたドラマ作品をまとめました。

感動的なストーリーの中に、実際の診療現場を思わせるリアルな描写が散りばめられており、獣医師を目指す方にとっては、モチベーションにも進路選択のヒントにもなり得る内容です。

「こんな風に動物と関わる仕事をしてみたい」――そう思わせてくれる作品に出会えるかもしれません。

目次

初恋DOGs(2025年)

2025年7月からTBS火曜ドラマ枠で放送『初恋DOGs』は、恋愛×動物医療という新鮮な切り口で注目を集めたドラマです。

清原果耶演じる離婚専門の敏腕弁護士・花村愛子と、成田凌演じる動物しか愛せない獣医・白崎快が、それぞれの“愛犬”同士が惹かれ合ったことをきっかけに出会い、物語が始まります。

白崎快は24時間対応の「白崎動物病院」を営む若き院長で、愛犬「将軍」とともに暮らしながら、動物たちと真剣に向き合う獣医師です。彼の誠実で情熱的な仕事ぶり、そして人間関係に不器用な一面も描かれており、動物医療の現場をリアルに感じられる要素が随所に散りばめられています。

本作は、韓国の漫画ウェブトゥーンを原案とし、TBSと韓国の制作会社が初めて共同制作したドラマでもあります。原作の世界観をもとに、日韓をまたぐキャスト・スタッフで制作されています。

舞台となる動物病院には実際の獣医師が監修として関わっており、診療現場の描写にもリアリティが加わっているそうです。動物との関わり方だけでなく、飼い主との接し方、命とどう向き合うかといったテーマにも触れられており、獣医を志す人にとっても心に響く場面があるドラマでしょう。

リラの花咲くけものみち(2025年)

『リラの花咲くけものみち』は、NHK総合の土曜ドラマ枠で2025年2月から放送された、全3話の短期連続ドラマです。北海道の獣医大学を舞台に、獣医学部の学生たちが6年間をかけて成長していく姿を描いた青春群像劇です。原作は、藤岡陽子による同名小説(ポプラ社刊)です。

主人公・岸本聡里(演:山田杏奈)は、ひきこもりの過去を持ちながらも、獣医を目指して上京し、酪農や診療の実習を通して仲間たちと心を通わせていきます。

本作の見どころは、動物と人との関わりを命の現場から描いている点です。仔牛の出産介助や安楽死をめぐるシーンなど、実際の獣医師教育で直面するリアルな場面が丁寧に描かれており、命と向き合う覚悟がテーマとなっています。

視聴者からは、「獣医師という職業がより現実味をもって感じられた」「ただの青春ドラマではなく、命の選択という重いテーマに正面から向き合っていた」などの声が上がって好評を博しました(Filmarksレビューより)。

主人公が進路に悩む様子や、実習でのできごとなど、獣医師が見ると懐かしい気持ちにもなります。
多くの人にとってはペットほど身近ではない、牛や豚などの家畜の獣医師の仕事が垣間見える心温まるドラマです。

関連記事

僕とシッポと神楽坂(2018年)

テレビ朝日の金曜ナイトドラマ枠で2018年に放送された『僕とシッポと神楽坂』は、動物と人間のつながりを丁寧に描いたヒューマンドラマです。主演は相葉雅紀。東京・神楽坂を舞台に、動物病院の再建に奮闘する若き獣医師の姿を描いています。

主人公・高円寺達也、通称コオ先生は、尊敬する獣医師・徳丸善次郎の後を継ぎ、「坂の上動物病院」を立ち上げます。地域に根ざした獣医療を目指し、動物と飼い主の両方に寄り添いながら治療を行う姿勢が印象的です。診察だけでなく、往診や在宅ケアへの関わりも描かれ、獣医師の仕事の広がりが実感できる内容となっています。

獣医師としての描写は監修を受けてリアルに描かれており、たとえば高齢犬の認知症や末期治療、飼い主の苦悩に向き合うシーンでは、医療技術だけでなく心のケアの重要性が伝わってきます。獣医師を志す人にとっては、動物医療の専門性だけでなく、人間関係や地域との関わりも求められる現実を感じられる作品です。

最終回では、主人公がある選択を迫られ、涙ながらに動物と飼い主に向き合う場面が放送され、「静かな感動が胸に残った」といった声も寄せられました。

ドラマに出てくるビジョンフリーゼのわんちゃんと三毛猫ちゃんがとても可愛いくて、SNSでも話題になったため、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。

獣医さん、事件ですよ(2014年)

2014年に日本テレビ系で放送された『獣医さん、事件ですよ』は、東京都狛江市にある柴動物病院を舞台にした人情ドラマです。主人公は陣内孝則演じる獣医・柴健太郎。通称シバケンと呼ばれ、動物だけでなく、飼い主やその家族が抱えるさまざまな問題=“事件”に関わっていきます。

毎話異なる動物とその家族の物語が展開され、診療シーンのほかにも、命に寄り添う獣医師としてのあり方が丁寧に描かれているのが特徴です。単なる医療ではなく、「誰かを思う気持ち」を大切にする温かいまなざしが感じられる内容で、人と動物とのつながりを深く考えさせられます。

ペットとその家族が直面する「別れ」や「選択」など、獣医師として避けて通れない場面も描かれており、獣医を志す人にとっても学びのある作品といえるでしょう。

毎話異なる動物のストーリーであるため、短編小説を読んでいるかのようなテンポ感と、コメディ調のポップなシーンもあり、とても見やすいドラマでした。

獣医ドリトル(2010年)

TBS系の日曜劇場枠で、2010年10月17日から12月19日まで全9話で放送された『獣医ドリトル』は、小栗旬が主人公・鳥取健一(通称ドリトル)を演じるヒューマンドラマです

主人公の鳥取健一は、腕が一流で、声なき動物の苦痛を救う敏腕獣医ですが、「獣医はビジネス」が口癖とされる冷徹な一匹狼として“悪徳敏腕獣医”という異名を持っています 。この強烈なキャラクターが物語全体に大きなインパクトを与えています。

物語は、ペットの犬や猫だけでなく、競走馬や水族館のイルカ、伝書鳩など、幅広い動物たちとの関わりを通じて展開されます。飼い主の事情や思いにも深く分け入りながら、命と向き合う姿勢が描かれています

キャストは、鳥取を演じる小栗旬のほか、井上真央(多島あすか役)、成宮寛貴(花菱優役)、國村隼、石坂浩二、藤澤恵麻、菅田将暉などが名を連ねています

本作の魅力は、診療シーンや手術などの現場描写において、実際の獣医療監修を反映している点です。命の選択や安楽死など、獣医師ならではの苦悩や倫理観が、リアルに感じられる内容となっています。

獣医師は、命を扱う職業である一方、仕事でもありますから、ビジネスとして成り立っていかなくてはならない現実があります。それを考えると、悪徳獣医とよばれてしまう主人公にも共感してしまう獣医師も多かったのではないでしょうか。

世代にもよりますが、獣医師ドラマと聞いてこれを挙げる獣医師も多く、話題になった獣医ドラマといえるでしょう。

ワイルドライフ〜国境なき獣医師団R.E.D.〜(2008年)

2008年にNHK BS-hiで2夜連続放送されたテレビドラマ『ワイルドライフ〜国境なき獣医師団 R.E.D.〜』は、藤崎聖人の人気漫画「WILD LIFE」を原作とする実写化作品です。

主人公・岩城鉄生(演:市原隼人)は、絶対音感を持つ新人獣医。国境なき獣医師団R.E.D.に所属することになり、獣医師としての情熱と正義感を胸に、ラオスや中国などで野生動物の命を救う活動に挑みます。チームの中心に立つ天才的な獣医・陵刀司(演:玉山鉄二)らと共に、困難な治療や保護活動に挑む姿が描かれています。

獣医療・看護監修には、日本獣医生命科学大学の獣医外科学教授と動物看護師が携わり、臨場感ある外科手術シーンや治療現場の描写に現実味を与えています。

動物は象やパンダなど多様で、特に象の群れをラオスからタイへ移送する大規模プロジェクトは、命と向き合う獣医師の使命感と葛藤を象徴する印象的なエピソードとなっています。観る者に命の尊さとは何かを問いかける熱いドラマです。

次に紹介する『動物のお医者さん』を凌ぐほど、当時の獣医学生および獣医学部受験生の憧れ的存在となった話題の漫画の実写化でした。このドラマの原作漫画を読んで獣医師を目指したという声も聞きます。獣医師を目指す受験生にはぜひチェックしておいてほしい作品です。

動物のお医者さん(2003年)

2003年にテレビ朝日系で放送されたドラマ『動物のお医者さん』は、佐々木倫子さん原作の人気漫画を原作にした心温まる獣医学部を舞台とする青春群像劇です。放送期間は4月17日から6月26日まで、全11話でした

物語の舞台となるのは北海道・札幌のH大学獣医学部。主人公・西根公輝(演:吉沢悠)が、シベリアン・ハスキー犬のチョビと出会うことで始まります。チョビに導かれるようにして獣医学部に進学する公輝は、個性豊かな仲間や教授たちとの交流、学業や実習での奮闘の日々を送ります。コメディタッチで描かれる学生生活の中にも、命を学ぶ場としての獣医学部のリアルがしっかりと反映されています。

特徴的なのは、リアルな動物描写です。原作同様、動物のセリフは明朝体で吹き出しなしに表現される手法がドラマにも踏襲されており、動物の気持ちを理解するとはどういうことかといった視点も織り込まれています。

『動物のお医者さん』は言わずもがな、幅広い世代から愛され、我々獣医師のあいだでも「この教授はうちの大学のあの先生に似てるよね!」「これわかる〜実習あるあるだよね〜」など、度々話題に出るバイブル的存在です。獣医学部では、この漫画を読んでいない人のために学生同士で漫画の貸し借りが行われていた程です。最も獣医学部のリアルに近い作品かもしれません。獣医学部受験生には必須科目といえます。

向井荒太の動物日記 〜愛犬ロシナンテの災難(2001年)

『向井荒太の動物日記〜愛犬ロシナンテの災難』は、2001年1月から日本テレビ系で放送されたヒューマンドラマです。主演は堂本剛が務め、全9話が放送されました。社会問題を絡めた重厚なストーリーが話題を呼びました。

主人公の向井荒太は、都会の動物病院で働いていた若き獣医師。しかしある事件をきっかけに田舎へ戻り、動物たちと向き合いながら新たな獣医師人生を歩み始めます。荒太が飼っている犬・ロシナンテとの絆が物語の軸になっており、動物と人間の関係性を深く掘り下げた展開が印象的です。

本作は、獣医療の現場だけでなく、動物虐待や過疎地域の医療問題、動物愛護といった社会的テーマにも踏み込み、見る者に問いを投げかける構成になっています。ロシナンテ(犬)の視点でナレーションが挿入されるというユニークな演出も特徴で、動物の立場から人間社会を見つめるメッセージが込められています。

獣医のドラマは獣医になりたい人にもおすすめ

獣医のドラマは、動物との関わりや命と向き合う現場を描くことが多く、獣医を目指す人にとって非常に参考になる内容が詰まっています。

たとえば、『リラの花咲くけものみち』では獣医学部の学生たちが直面するリアルな現場実習の様子や、進路の選択を迫られる場面が丁寧に描かれていました。また、『僕とシッポと神楽坂』『獣医ドリトル』では、動物病院を舞台にした臨床現場の様子がリアルに描かれています。

こうしたドラマを通じて、獣医師は動物だけでなく、その背景にある人や、場合によっては社会とも関わる仕事であることが伝わってきます。進路に悩んでいる中学生・高校生や、獣医学部への進学を考えている受験生にとって、獣医ドラマは職業理解のきっかけやモチベーションになるでしょう。

獣医師という職業を、感動的に、時には現実的に描くドラマは、エンタメ作品であると同時に、進路選択の参考資料にもなりえます。ぜひチェックしてみてください。

Pettie 獣医大学は獣医を目指す方への情報提供サイト

「Pettie 獣医大学」とは、獣医を目指す方への情報提供サイトです。 獣医学部・獣医学科のある大学一覧、獣医師になるための資格、獣医の年収など、獣医大学・獣医師を目指す人に必要な情報を日々発信しています。

各獣医大学の特色、入試情報、学べる分野やカリキュラムの傾向まで、受験生に役立つ情報をわかりやすくまとめていますので、獣医学部受験生は必ずチェックしましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次